内外からみた「柔道整復」
明治国際医療大学 長尾淳彦  
現在「柔道整復」業界は、制度的・業態的に様々な変化が急速に起こっている。その急速な変化に柔道整復師が対応するためには、もう一度、原点に立ち戻り「柔道整復」とは何かを検証し、業界内外の関係者が現状の「柔道整復」をどうみているかを知ることが必要である。内なる柔道整復師ですら法的な我々の置かれている立場を理解していないことが多い。例えば、「柔道整復」は「医業類似行為」とされているが「患者(国民)」側からは痛いところを治す「医療(医業)」の分野と位置づけている。広義、狭義別の解釈でない「医業行為」「医業類似行為」とは何かを知る必要がある。また、接(整)骨院では「健康保険が使える」といってもその財源は「医療費」でなく「療養費」である。それも特異な「受領委任払い制度」を使ってのことである。日本の医療制度は「いつでも」「どこでも」「誰もが」受診できる優れた制度である。その優れた医療制度の一員であるためには「医療費」「療養費」「受領委任払い制度」が何たるやを知らなくてはならない。「柔道整復師法」の「広告の制限」によると施術所の名称は「ほねつぎ」「整骨院」「接骨院」に限られているにもかかわらず「鍼灸接骨院」や「整骨鍼灸院」なる名称が巷に溢れかえっている。業務内容案内も千差万別で何をするところか判らない広告が氾濫している。国家試験合格後、即開業が出来る制度にも問題があるのかもしれない。このような問題を題材として「柔道整復」の内部としては「開業柔道整復師」「柔道整復師養成校学生」「柔道整復師養成校教員」 外部としては「保険者」「行政」「患者(国民)」を対象としてそれらの立場の人が「柔道整復」をどうみているのかを検証してみた。